Exhibition 展覧会情報
堀岡育恵「In the House」

堀岡 育恵「 In the House 」
2014年8月5日(火)〜8月16日(土)
13:00〜19:00 日・月曜 休み


作家ステートメント

ドイツ語の不気味なunheimlichという単語には、家庭heimという単語が含まれているという。
朝の10時に太鼓の音で目が覚める。何ごとかと子の父に尋ねると、「祭りが始まった」と答えた。「祭り」は休日の午前10時から始まり、飽きるまで続く。私たち大人には止めることができないものなのだと言う。男児はしょっちゅう太鼓を叩いている。一方で太鼓に合わせて騒いでいる女児、彼女はいつも赤いワンピースを着ているような気がする。何故かと子の母に尋ねると、「あれが可愛いからって」と答えた。それは2日と空けずに同じ服を着続ける理由になるのだろうか。二人ともわけがわからない。わけのわからなさをあっさりと受容するその親も理解の範疇を超えている。この理解のできなさが居心地を悪くする。自分の子供時代にどうだったかを自分では思い出せないし、子供を目の前に段々と不確かな気分になる。「だいたい私は彼らを愛しているのだろうか?」
写真は疑念を払拭するはずだ。子供とはそういう対象だし、整った肌理・髪の柔らかさ・澱みのない目を捉えた写真が万人に訴えかけて、私の愛情を裏打ちしてくれる。だから、写真に撮れば子供は疑いようのない存在になるはずだった。ところが、写真は事態を改善させるどころかもっと悪くした。子供を起点にして写真に写ったものは、見慣れたはずの家や家具まで不気味で、さらに私のわけをわからなくさせる。
ドイツ語の不気味なunheimlichという単語には、家庭heimという単語が含まれている。とはいえ接頭辞のun-は否定を表すので、家庭を不気味なものと結びつけるのはなかなか骨の折れる作業だ。だが、heimをunheimlichに転換させることくらい、写真にとっては簡単なことなのだ。

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