Exhibition 展覧会情報
森谷雅人「窪み」

森谷雅人「 窪み 」
2015年10月27日(火)〜11月7日(土)
13:00〜19:00 日・月曜 休み


作家ステートメント

いつもの街をいつものように歩く。いつものように撮る。何度も通った道なので次に現れる景色はだいたいわかっている。一度撮った風景でも同じように撮る。数年前とは風景の受け取り方も写真の撮り方も変わっている。以前は興味が持てなかった場所でも撮る。また光の状態が悪かったり、人の気配がして撮れなかった路地も、季節が変わり、時間が変われば当然のように入っていく。敷きつめられた砂利を踏む自分の足音に驚きながら、その路地でとる。足早に抜けると、見覚えのある特別な場所に出る。
街には何度訪れても、初めて来たときと同じ不可思議を感じる場所がある。どんな角度から見ても複雑さが途切れることがなかったり、逆にある一点からしかフレーミングを受け入れないが、見飽きることのないような場所である。たいていの場合そのような場所は表通りから一歩奥に入り込んだ窪みの様なところに存在する。
この街で写真を撮る動機のひとつは、新旧の住宅や工場が密集してつくる複雑なフォルムがただ面白いと思ったからである。特別の場所とはその最上級なのだろう。
何年も同じ街にかかわっていれば、その街の成り立ちの歴史から、現在のトピックまでさまざまな出来事が否応なく知識として入ってくる。
以前発表したこの街の写真のなかに、最近起きた殺人事件の現場になったものがある。フォルム以外の要素は写真に写りようがないとは思いつつも、その場所は撮影した時と別の意味を持った場所に変わってしまった。写真家にとって特別な場所になったのだ。

いつもの街をいつものように歩く。眼前の風景の裏側に見え隠れする何者かに影響されるのかどうか、試しながら撮る。何度も通った道なので次に現れる風景はだいたいわかっている。一度撮った風景でも同じように撮る。

新たな窪みに出会う。この街がこっそり教えてくれたのだ。
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