Exhibition 展覧会情報
比舎麿「シシ-獣じみた-」

比舎麿「 シシ-獣じみた- 」
2016年3月22日(火)〜4月2日(土)
13:00〜19:00 日・月曜 休み

作家ステートメント

 週末になると民家と山の斜面を行き交い、シシ垣を探す。古地図やネットの情報を頼りに探すが、元農地でヒトの手入れも放置された場所を歩く。この行為を繰り返していくうちに自らの感覚が敏感になっていることに気づく。枯れ葉を踏む音によって、静寂された空間に響いて恐怖を感じる。そして、木に擦りつけた動物の痕跡を通過すると、不快な臭いが印象に残る。この感覚の中でも特に敏感なのは嗅覚だと考えるようになった。

 ほ乳類は本能的に臭い。ヒトは自らの体の臭いを消すように努めるが、排泄物は効果的に匂いを発するメカニズムを有する。他の動物がマーキングをする際に放尿を使い分けて、電柱に匂いを長期間残るようにしている。また、ストレスを感じると劇的に大きくなり、この匂いを空間に「恐怖の匂い」と呼ばれる物質を発する。過去の実験によって、動物であれ植物であれ、それぞれの位置や近さに関する情報を伝達する。その結果、どこにいるか、何らかの関係か、といった制御する調和的な生態メカニズムが出来上がっている。

 シシ垣はけもの道の側にあり、動物が通過することを防ぐためにうまれた。現状、動物が体当たりして、破壊するといった痕跡が残っている。時間をかけて動物の臭跡が染み込んだ獣じみた存在になろうとしている。

シシ垣:害獣から田畑の作物を守るために約300年前に築いた垣
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