ALTERNATIVE SPACE The White

Exhibition 展覧会情報

杉山 雄二「Individual Projection」

杉山 雄二「Individual Projection」

2018年10月23日 〜2018年11月03日

13:00〜19:00 日・月曜 休み

Alternative Space The Whiteでは、10月23日(火)から11月3日(土)まで杉山雄二写真展「Individual Projection」を開催いたします。The Whiteで2回目の個展となる本展では、2015年から継続的に撮影してきた「河原で焚き火をする人」を独自の視点で捉えたポートレイト作品を中心に展示いたします。

このシリーズは、東京近郊の河原に残された焚き火の痕跡をクローズアップで撮影したシリーズ「FIREGRAPHY」と並行して撮影してきました。杉山は1つの事象を2つ(あるいは複数)の異なる視点により表現することを意図し作品を制作しています。ここでは、抽象度の高い写真 (FIREGRAPHY)と具体性の高いポートレイトを並行して撮影をすることにより、” 焚き火をする行為 ” を多視的に捉えることを試みています。

中望遠レンズを使い、火を挟み向かい合うという一定の形式で撮影されたポートレイトは周辺環境と切り離されフレーミングされています。自然から分離され人間に飼いならされた炎と、それに没入する被写体との間には親密な関係性があるように感じられます。今回の展示ではポートレイトに加え、撮影時の体験と改めて写真を見返した時の印象(そしてそのズレ)をもとに創作したエピソード、それに関連したキーワードにより収集されたアーカイブと新たに撮影された写真という2つの要素を並列させ、フレームの外にある事柄を想起させることに長けている ” 写真 ” というメディアの特性をより強め、鑑賞者が被写体の背後にある不在の物語を、あるいは鑑賞者自身が己の物語を投影することを促しています。

Events

トークショー
タカザワケンジ(写真評論家)x 杉山雄二(写真家)

2018年10月26日(金)19:00 ~ 20:00

無料 先着20名 予約不要

Statement

本展のタイトル「インディビジュアル・プロジェクション」は1997年に出版された阿部和重による小説から引用しています。インディビジュアルは「個人的な」、プロジェクションは「投影」という意味がありますが、このシリーズの写真を改めて見返した時、被写体となった人たちの「個人的な投影」のようなものを感じました。それは、撮影時に感じたことでもあります。撮影を終え立ち話をしていると、過去にあった個人的な出来事を話してくださるかたが何人かいました。これは私にとって少し意外なことでした。というのも、街頭で出会った人に声をかけ写真を撮らせてもらう場合では、このような関係性が生じたことはなかったからです。私はひとつの仮説を立てました。 焚き火には、人の感情に何かを働きかけ記憶などを引き出す効果があるのではないかと。 今回の展示はポートレイト、 架空のエピソードとそれに関連するアーカイブと新たに撮った写真の3つの要素で構成しています。後者の2点に関しては撮影者である私自身の個人的な投影だと言えると思います。そして鑑賞者がこの展示を見て何を感じるのか ? この3つの投影が重なった時、どのような像が現れるのか、そこに関心があります。それに加え、個展のプランに至るプロセスと撮影地のコンテクストを展示します。これは並行して撮影していたシリーズで前回の個展「FIREGRAPHY」からの連続性と対比を示すものです。

Biography

1966年、東京都生まれ。神奈川県在住。
大学で建築を勉強したあと、東京とクライストチャーチ(NZ)で建築設計事務所に勤務。
2012年ホンマタカシ・ワークショップ、2014年金村修ワークショップ参加。
2017年 REMINDERS PHOTOGRAPHY STRONGHOLD フォトブック・マスタークラス参加。
https://www.yuji-sugiyama.com

個展
2016年 個展「Firegraphy」(Alternative Space The White)