Overview

この度The White では、樋口朋之による「PROCESSING FLOW」に続く二回目の個展「MISSING DATA OCCURRANCE RATE」を開催いたします。
樋口は、これまで自身の作品を”Dub Painting”と称し、トレースやサンプリングの手法を用いて絵画作品を制作してきました。近年では、見ることと描くことに対する問題意識から制作における作業性をさらに前進させ、その作品はますますソリッドに変容しています。
今回の展覧会は、ドローイング作品を中心にZINEやポストカードなど、樋口が日々紙上で行なっている実験を中心に紹介します。作家の制作の過程を可視化することで、作家の問題意識を浮き彫りにし、作品の源泉を辿り、さらには今後の樋口絵画への予兆をはらんだ作品群となることと思います。この機会にぜひご高覧いただけましたら幸いです。

Statement

転がっている映像、そこらへんのイメージ。
これらを使用する件について。

つまり借物だ。

実体験が乏しい。
それは肯定的に捉えられないことが多いが自分にとっては重要ではないし、困ったと感じたことはない。

あまり移動をしないし、これからも移動することは少ないかもしれない。
行ったことがない所、見たことがないことばかりなのに知っている。

今となっては、成果物となったものが、自分の認識のバグなのか、ただの映像だったのか既に判別がつかない。

目の前に転がっているイメージが飽和状態で、それらを形にする為に、すぐ作るしかない。
　
「知っている」ことになっている誰かが残したイメージを、レイヤー化、カットコピーペーストする。
その行為と時間がそれは紛れもなく豊かな自分の実体験となる。

Biography

1969年生まれ。1996年より活動開始。
ギャラリーなつか（東京）、セゾンアートプログラムギャラリー（東京）、七針（東京）、ギャラリーαm（東京）,art gallery closet（東京） ,art trace gallery（梅津元企画　東京）,B93(オランダ),櫻木画廊（東京）など個展、グループ展多数。
THE WHITEでの展示は2回目となる。