Exhibition 展覧会情報
Room #202 #205
Rudy Guedj 「Well, Water Does Not Appear」
2025年12月09日 〜2025年12月20日
13:00〜19:00(日曜、月曜休み)
Closing party: 12月20日(土)18:00〜
Overview
The White ではこの度、アムステルダムを拠点とするフランス人アーティスト、ルディ・グエジによる展覧会「Well, Water Does Not Appear」を開催いたします。
本展は、映像・プリント・音響を組み合わせたインスタレーションとして構成されており、同名の出版物『Well, Water Does Not Appear』(Building Fictions刊)の刊行にあわせて実施されます。本書は、グエジがこれまでの二度の来日で撮影した一連の写真を中心に編まれており、東京の内外で拾い集められた刹那的な瞬間が、不思議で幻覚的な旅路を作り出しています。そこには、偶然の一致や時間のズレが織り込まれ、個人的な記憶と都市の風景が交錯する独特の視覚体験が提示されています。
アートブックとインスタレーションが重層的に響き合う展示空間を、ぜひこの機会にご高覧ください。
また、12月20日18時からは作家を囲んだささやかな懇親会を開催いたします。どなたでもご参加いただけますので、ぜひお越しください。
なお、本展の刊行元である Building Fictions は、東京アートブックフェア(TABF)WEEK 1 にて EX-456 ブースに出展いたします。こちらもあわせてご覧いただければ幸いです。
Statement
建物の外壁に設置されたダウンスパウトを通して、余分な雨水は通常、屋根の雨樋から地面へと流れ落ちていく。しかし日本では、特定の建築物の屋根から雨鎖(鎖樋)で雨水が落ちていく光景も見られる。PVC や金属でできたパイプは、水を下へ導くものの、その流れを見えないままにする。一方で鎖は、そのすべてを露わにする。
『Well, Water Does Not Appear』は、一連のイメージと親密な記憶を通して、私的空間と公共空間のあいだに揺らぐ境界を辿る。写真、ドローイング、テキスト、アニメーションを横断しながら、展覧会は一連の“現れ”を呼び寄せ、個人的な記憶や感情がどのように私たちの環境に浸透していくのかを語ろうとする。幼い夜を守っていたドラゴンの赤く輝く目、身体のような洞窟生成物、幽霊のような道路標識――それらはすべて、見ることと見られることの区別が溶け始めた、不可思議な連鎖的遭遇の流れの中に捉えられている。水のように、記憶は漏れ、蒸発し、凝縮し、また戻ってくる。イメージは、生命や死、そしてそのほかの幽かなビジョンを呼び寄せる親密な記憶の井戸の中で、一瞬だけ結晶化する。