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The White Report 月間ウェブマガジン

The White Report 2014年 7月号  毎月20日更新

–目次–

There is a method in our madness.
〜我々の狂気には筋が通っている〜
澤田 育久
There is a method in our madness. 〜我々の狂気には筋が通っている〜
澤田 育久 (写真家)
「俺が何人もいるような感覚」 映画”気狂いピエロ”より

「俺には見るための”目”がある。そして聞くための”耳”。話すための”口”がある。全部バラバラに動くような感覚にとらわれる。動かしているのは俺なのに。俺が何人もいるような感覚。」
ゴダールは劇中主人公の言葉を使って”分断”について上のように解説しています。”目や声のための映画がある。そして耳のための映画も。”(ジャン=ベルナール・プーイによる解説より)
写真に興味を持ち始めた当初、私にとって写真は”見る"ものでした。しかし作品として制作をするようになると表面的なイメージだけでは説明がつかなくなり、撮れば撮るほど写真の領域は拡張し、全ての器官を写真のために動員せざるを得なくなりました。また、自分が撮った写真を他人が撮った写真のように見、他人ごとの様に批評を試み、それを踏まえながらまた制作をしていくというように自身の分断と統合を繰り返す作業をしているうちに、作品を支配し制御しているのは何者なのか自分自身でもわからなくなってしまうような感覚さえ覚えます。その度にまたなぞるように撮影に出掛け、展示を繰り返すのです。私の場合は”写真”によって”自身”が分断されてしまったようです。